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Wendy Fonarowが「あとがき」に書いて曰く、

My trick has been indie's trick --- that music and emotional epiphanies matter. If popular music is not worthy of study, then it's because it is not worthy. It's not worthy because it is ephemeral. It doesn't last. It is our trash. You can't see it in a museum in two thousand years. It is dirt. Do we not live in a world where it does not matter what sort of music you like? Does it matter if artists make music independently or under corporate auspices, extravagantly or modestly? Will it help you get a job? Will it feed your family? To the outsider, the emotional epiphanies of the indie comunity are as insignificant as documenting fleeting trains as they speed by your platform.   (p.249, Empire of Dirt: The Aesthetics and Rituals of British Indie Music, 2006)

わざわざ訳さないけど、もし「ポピュラー音楽が研究するに値しないのなら、そうだったらそれはポピュラー音楽に価値がないからだ」と書いている。はたしてそうなのかというと、そう「あとがき」で書いているFonarowさん自身が200ページを超えるこの研究書を書いているわけだから、答えは「研究に値する」である。でもそれが研究に値するのはポピュラー音楽が主張している「価値体系」が優れているからではなくて、その「価値体系」が一つの重要なイデオロギーとして社会全体の中で機能的に働いているからである。

この本はイギリスのインディー・ロックについて書かれた本だが、かつて、今でも少し、インディーファンであった自分にとっては、けっこうキツイ分析であったように思う。研究として優れているのは間違いないけど、なんというか教訓のようなものをこの本から受け取った自分がある。「現実」を見ろ、と何度も言われたような気がする。インディー・ロックの「美しさ」はまやかし、トリックであり、十中八九「ゴミ」("dirt")である、と。

タフな研究書である、この本は。

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