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やっぱりそうか、英国BBCラジオでリスナーが選んだクリスマスソングにザ・ポーグスの「Fairy tale of New York」が堂々一位に選ばれた。しかも嬉しいことに歌詞に汚い言葉が含まれるとしてBBCがその部分を編集(つまりカット)して流したらしい。モチ早速苦情が殺到。やってくれるねほっとした顔
http://www.barks.jp/news/?id=1000036543&m=oversea


ニューヨークで出会った男女が故郷のアイルランドを想いながらクリスマスを過ごす、そんな感じの歌詞ですよ。故クリスティ・マッコールとのデュエットになっている。汚い言葉の応酬がとても心地よく、下手すれば甘ったるいだけのラブソングが立派にパンクっぽくなる。二人とも田舎もんだし学はないわ、お金はないわ、でいい感じです。

都会で暮らしながら故郷を想う、という構図そのものが近代文学の定番なわけで、それが太宰の津軽であろうと谷川雁の水俣であってもいいわけだが、どちらにしてもパンク少年であったショーン・マッゴワンはモダニストであった。そこ辺りが同じロンドン育ちのジョン・ライドンとはちょっと違うところだ。

でも大方パンクの連中がシュール・レアリズムやダダといった芸術思潮を気に入っていたり、ジョイス好きをアピールしていたのはポスト・モダニストというよりモダニストだったからだ、と私は思う。もちろん取り巻きの連中(仕掛け人)はインテリであったろうから彼らがポストモダニストであった、ということには反対しない。

家を含む「故郷」を発見すると同時に失うのがモダニストだとすると、ポストモダニストはもはや故郷を発見も喪失もしないのだろう。

しかもモダニストは「故郷」の向こう側に「国」を透かし見たのであるから、そこには柔らかな近代文学固有のナショナリズムがある。保守の思想と言ってもよい。「故郷」が喚起する感情に人々は弱い(私もその一人であることを認める)。したがって大事なことは、というよりモダニストの倫理は、

「故郷」に決して回帰しないこと、なのである。

もちろん文字どうりにではない。イデオロギー的に、ということだ。

やはり正月が近づくと故郷の熊本を思い出す。水前寺公園、中二のとき引っ越した市境の馬の糞くさい匂い、畑、暗い夜道。

アメリカに渡ったアイルランド人が故郷想う歌にはやはり心を打たれる今日この頃である。
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