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サブカル化。

これは自殺した江藤淳の問題意識であり、それを引き継いだ大塚英志のテーマであるが、これも間違いなく私の取り組むべきテーマである。

さて大方日本の「文学」に対する感受性は私の場合吉本隆明を経由しているので偏りはある、というか古いかもしれない。しかも90年代以降は娘ばななの時代なのだから。

吉本を安保闘争時代の左翼理論家として理解するか、いわゆる文芸批評家として理解するか、ばななの父親として理解するかは各人の勝手だが、私にとっては「詩人」である思想家であることに意味があった。

学部時代に吉本に出会った私は『共同幻想論』から柳田國男、折口信夫などの民俗学を読み漁った。恐らく左翼理論家だった吉本の「保守」の匂いはこの正統的な日本文学への「好み」(趣味)にある。それは私にも伝染したものだ。左翼運動家で親友だったSとよく議論・喧嘩した。

さて日本の詩人では金子光晴、中桐雅夫とか好きな詩人が数人いるが、やっぱり長谷川龍生に止めをさす。谷川雁や吉本に繋がる左翼系の詩人ではあるが抜群の言葉のキレ、これこそがこの詩人の生命線だったと思う。

きみも、他人も、恐山!
悲しみも、こごえる、人の世の断崖。
霧のたちこめる怨霊の空のはて。
さまよう個人主義者の自殺する空井戸。
きみの、その、覆面の下の白い顔。
きみの、その、仮面の裏の汚れた顔。
きみの覆面、きみの仮面を
はぎとり、殺してゆく
他人の覆面、他人の仮面。
きみも、他人も、恐山!
きみも、他人ものぼっていく。

この一節は初期の傑作中篇詩「恐山」からだが、どうですか、パンクでしょう? 「きみも、他人も、恐山!」のリフレインがロックというか、こりゃ「筋肉少女隊」か?

それはそうと「文学のサブカル化」というテーマは恐らく私の場合吉本親子「文学」の在り方の違いとして立てられるのではないか、と思う。ばななは私と同世代、しかも私は隆明を「父」のように慕ってきた人間であるから・・・。

長谷川龍生については:
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%95%B7%E8%B0%B7%E5%B7%9D%E9%BE%8D%E7%94%9F
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